南京錠のカギ

2019年02月09日、僕は静岡の御殿場で正座をして泣いていた。それは、心の中にある遠い過去のワンシーンを思い出したからだ。

僕は物心ついた時に、家賃1万円ほどのアパートで暮らしていた。今でも記憶にあるその場所の思い出、窓に貼られたステンドグラス調のステッカー、台風が来る前にガムテープを窓に貼って風で割れるのを防いだ事も。

家の鍵は南京錠で、お風呂には時々どこからともなくナメクジが現れる。勿論トイレは水洗なんかではない。

いつも母親に「今日も雑炊?」と聞いていた。夜になると祖父宅の食卓で余ったご飯をもらいに行って、それで雑炊を作ってもらって食べていた。

ある日の晩に僕が熱を出してしまったとき、母親がおんぶをして病院に連れて行ってくれた。その帰りに自販機でオロナミンCを買ってもらった。

少しの不便は感じながらも、そこには幸せな暮らしがあった。何一つ不幸に思ったことはない。

隠したい過去なんかではないけれど、いつのまにか思い出すことがなくなっていた、大切な過去。

僕はこの人生を歩めて良かった。まだまだこれからが人生。精進しよう。

 

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